所在地:埼玉県越谷市越ヶ谷本町8-8
主要用途:店舗
工事内容:改築・改修(リフォーム)
延床面積:84.6㎡
竣工:2018年3月
古民家複合施設「はかり屋」のお座敷スペースにオープンした、創作フレンチレストランです。外観、内観共に文化財登録を目指す建物である事から、大きく改造せず、建設された当初(明治38年頃)の雰囲気を活かすような改修が求められました。
レストラン部分は柱や天井などの木部は補習程度にとどめ、土壁の塗り直し、木製建具の調整、襖や障子は当時使われていたものと同等の厳選した和紙を貼り直しました。畳も当時と同じ本床(藁の床)を使用し、表面のい草には熊本県産の高級い草を使用しました。通常の住宅等で使われている畳に比べ、弾力性があり、踏み心地、座り心地も抜群です。
中座敷、奥座敷の二間が客席として利用されていますが、奥座敷には欅の一枚板の床の間や楓の玉杢が出ている違い棚など、今では入手困難な材料によってお座敷が構成されています。一方中座敷には、細かな細工格子戸によって仕切られた造作棚が配置されており、座る位置によって変わる室内の景色も面白いと思います。また、それぞれの部屋の天井には杉の杢目天井板が使用されていますが、杢目が違い、種類の違う杉板が使われている部分も一見の価値があります。もちろん奥座敷(床の間のある部屋)の方に高級な材料が使われています。その他、柱がほとんど四方柾(四方向が柾目の高級材)であったり、欄間(天井と鴨居の間のスペース)がシンプルな板欄間であるなど、随所に木材へのこだわりが伺えます。これは元々のオーナーの家業が木材商であったことに起因していると伝えられています。
そんな歴史と建築を楽しみながら、美味しいフレンチと美酒に酔いしれる上質な空間に仕上がりました。
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