所在地:埼玉県越谷市越ヶ谷3-
主要用途:店舗
(コミュニティーベーカリーカフェ)
工事内容:改築・改修(リフォーム)
延床面積:142.36㎡
構造/工法:木造軸組工法
竣工:2016年12月


江戸時代に「旧日光街道越ヶ谷宿」として賑わった通りにある空き店舗に出来上がったのがコミュニティーベーカリーcafe803です。昭和50年台までは、商店街として賑わいを見せてきましたが、スーパーマーケットや大型商業施設の出現によって、まち中の商店街は衰退の一途をたどり、シャッターの閉まる店舗が増えてしまいました。
そんな商店街に活気と賑わいを取り戻そうと、地元の商店会や自治会、商工会などが立ち上がり、イベントやお祭りを計画しながら日光街道沿いの賑わいづくりを試みてきました。そんな中、日常的に賑わいを出すための拠点づくりとしてcafe803プロジェクトがスタートしました。
欅組(けやきぐみ)では計画の当初から相談を受け、店舗内装のイメージだけでなく、中に入れる機能やターゲットとなる顧客層の絞り込みなど、コンサルティング的な要素を含みながら店舗の提案をさせていただきました。
こちらのお店では美味しいパンとコーヒーを楽しめるだけでなく、まち中のイベントや情報が手に入ったり、様々なコミュニティーを通した多世代交流が出来るようになっています。
レンタルキッチンとして利用出来る、ちょっと贅沢な木製ウロコ張りのアイランドキッチンや板張りレンジフード、空間をしっかり仕切る事が出来る天井一杯までの大型吊り引戸、他にも天然柿渋で染めた大判レンガ張り板天井など、住宅ではあまりチャレンジ出来ない店舗ならではのデザインを施しました。
また入口には宿場町の雰囲気を感じられる和の要素として、伝統的な格子デザインの大型ガラス框引戸を採用したり、外部には越ヶ谷宿に今でも残るレンガ製の独立防火壁(袖うだつ)に見立てた木製レンガ風うだつを新設しました。床には素朴な土間たたきを思わせる、不揃いの砂利入りモルタル洗い出し仕上としました。宿場町としての外からの見え方を意識しながらも、古典的になりすぎず、機能性を重視した現代的なデザインを目指しました。
歴史的な宿場町にいる事を少しだけ感じながら、ずっと座っていたくなるような、そんなリラックススペースになっていれば幸いです。

https://www.cafe803.com/