「日本の住まいは『木と紙でできている』と言われます。」とある雑誌にのっていた一文です。現在の住まいは木と紙だけではできませんが、障子・襖・壁紙など確かに日本の住まいには欠かせない重要な要素の一つです。欅組でもビニールクロスより和紙クロスや玉紙など和紙の風合いを持つ壁紙を使用することが多いです。また、ビニールのものに比べて調湿作用に優れ消音の効果もあると言われています。

そんな和紙ですが元々は書物として伝来したと言われています。(諸説あります)聖徳太子の時代に仏教を広めるために使用された和紙は、平安時代に女流作家の要望などから薄く強い和紙をつくる技術「流し漉き」が日本独自の技術として発展し、薄くても強く寿命が長く和紙ならではの風合いを持つものへと発展しました。はじめは貴重なものとして身分の高い人しか扱えないものであった紙は伝来から約1000年をかけて広く一般に普及しました。

和紙が建物に使われるようになったのは日本の気候が大きく影響しています。日本の住まいは高温多湿になる夏の気候に合わせて作られています。ゆえに夏は湿度の調整を自然に行え、冬は開放的な空間を明かりを取り入れつつ風を遮断し内部を囲める材料として和紙が重宝されました。

今や日本国外でも注目されている優秀な性能を持つ和紙。今後のためにも建物の素材としてきちんと見直してみたいと思います!