先日、春日部市に建つお宅へ10年点検に行って参りました。点検の補助をしながら過去の物件を拝見することができました。なので今回は私的な感想を交えつつご紹介していきます。

 

まずは外観です。写真ではできた直後の状態しか見たことがなかったのですが、伺った際にはお庭も綺麗に手入れされていて人が住むことによって建物に温かみが増しているように感じました。外壁の仕上げは板張りになっています。直接日光が当たる部分は陽の光で熱を持ちやすくなってしまい、夏の暑さの原因になってしまいます。そこで熱を通しにくい木を仕上げ材として使うことで外からの熱を伝えにくくするとともに、寒い冬には内部の暖かさを逃しにくくしています。また伺った際に固定するために打った釘の浮きなどがないかチェックをしながら外回りを点検しましたが、経年変化で木の持つ独特の雰囲気が出ていて、性能の面だけではなくデザインとしても美しい板張りでした。

 

 

内部に入るアプローチには窓に取り付けている格子と同じ素材の門扉があります。塗装の剥がれがないか、動きに問題がないかを確認しながら家の中におじゃまします。この門扉も格子も洋風の雰囲気がある茶系の建物にあうようにデザインされたものだそうです。私の一押しは同じ素材の玄関扉の取っ手です。触ったときに手になじむような感触が良かったです。

 

 

内部に入ると金物をなるべく使わず、伝統的な架構の組み方をしています。一般的な住宅だとこの架構部分は天井が貼られてしまうため、屋根裏に潜らない限り見ることができません。しかしこの住宅は部屋同士の温度差をなくす目的で大きく吹き抜けがとられ、架構がみえるデザインになっています。一階の下から見上げる架構空間には圧巻されました。2階に行くとさらに近くで架構を見ることができます。架構の状態のチェックもおこないました。

 

この家最大の特徴は置屋根です。置き屋根とは、古くから土蔵などに採用されていた屋根のつくり方なのだそうです。効果としては建物本体と屋根が切り離すことで屋根面からの熱を内部に伝えにくくすることができ、通気をよくすることで夏を快適に過ごせる工夫がされています。しかし今回の点検で屋根と建物の間の空間に鳩が巣を作ってしまっていることが判明しました。こちらは早急に対応が必要です。外観に影響が出ないように対策を考えます。

 

建物の紹介と私的な感想になってしまいましたが、10年点検として床下の点検や建物の状態の確認もしっかり行いました。今回わかった問題点や修繕の必要がある部分はしっかり対策をしていきます。

 

白坂